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川向正人教授
退任に寄せて
加藤 耕一(2002年~ 2003年助手)
川向先生の怖さは、川向研で鍛えられた人たちならば、誰もが骨身に染みていることだろう。研究室の緊張感、先生を前にし てスッと背筋が伸びる感覚、そして驚愕するほど密度の濃いゼミ。川向研で鍛えられた人ならば、社会に出ても恐れることなど 何もないはずだ。
僕自身にとっては、川向研究室は初めての就職先だった。建築の歴史、理論、思想、空間、地域、都市を多層的に論じる川向 先生の研究の幅広さに圧倒され、深夜まで続くゼミでの指導では、トップギアで突っ走る川向先生の思考スピードについていく ために、こちらも死にものぐるいだった。現在、大学で建築史の研究室を持つようになった僕にとって、川向研でのすべての経 験はもっとも重要な原体験である。
川向研究室で助手をつとめた2年間での思い出は、あの緊張感漂う研究室の風景に加えて、折々に開催されたゼミ旅行だ。こ のゼミ旅行で、川向研のエネルギーの源である研究室の団結力が最大限に発揮される。何台 もの車を連ねてのドライブ、建築見学、学会シーズンならば研究発表、そして何を措いても 外すことのできないのが温泉だ。川向先生の「温泉論」で強烈に印象に残っているのは次の ようなものである。一緒に温泉に入ることで、身体と身体の間にある媒体が気体ではなく液 体となり、それによって人間関係がいっそう濃密なものになるというのだ。温泉でリラック スなどしている場合ではない。研究室のアトモスフィアをお湯の波動に実感し、緊張感ある 団結力を高めるのだ!
川向先生、先月も小布施と湯田中温泉でご一緒させていただきましたが、次回も楽しみに しております。
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